うつくしい水



雫雨雲雪露霜・・・
水は形を変えながら動き続ける。
水がなければ
どんな命も生まれることはない。
ひとしずくは、すべての始まり。



いちばん小さなしずくでさえ
水の分子が300兆個集まってできている。


しずくは少しずつ形を変える。
水の分子は、磁石のように、くっつこうとしている。


浮いているのではなく
表面張力によってできた水面のまくの上にそっと乗っている。


空気中の水蒸気が冷たいものの表面に凝結したものが露。


空の高いところ、氷と氷が決まった角度でくっついて
その結晶がじゅうぶん大きくなるとひとつぶの雪になる。
せっけんと水で出来るシャボン玉のまくは
髪の毛の500分の1の厚さの球をつくる。


光と水が出会ったとき、虹が生まれる。


人を傷つけ、人に傷つけられ
それでも水は
人の心を潤し
柔らかな種を芽生えさせる。
ひとしずくは、すべての始まり。


『ひとしずくの水』 ウォルター・ウィック 作  林田晃一 訳  あすなろ書房
著者の代表作『ミッケ!』も、ひとつひとつの物がしっかり存在していて
見ていると飽きないけれど、この本は子ども達のもっと深いところに届くと思う。
1日も早く、うつくしい水が日本に戻りますように。

本のこと

あかり



パパとママに言われた。
「8時になったらあかりをけして」
でも暗いと怖くて眠れない。
だから コブタは考えた。



あかりが消えるまで
時間をかける方法。
設計図も用意。
家にあるもので準備万端整えて、



さぁ、あかりの紐をひっぱろう。



すると、重りのひもがちょきんと切れた。
ここから先はご覧の通り。













そろそろ眠くなってきて・・・



ついに最後の仕掛け。



あかりがきえて見事成功!


おやすみなさい。



暗闇は誰でも怖いものです。
コブタは、怖くないまま眠れるように
身近なものが、それぞれの動きで
次の動きへとバトンタッチしていく仕掛けを考えます。
単純な動きが繋がって繋がって、
電気が消えるまでの間に
コブタは眠りにつくことができました。

節電や停電、いつもと違う毎日に子ども達も
怖い思いをしているかもしれません。
そんな夜は、この絵本を開いてみてください。
コブタの創造力が、子ども達の想像力を刺激して、
きっと明日が待ち遠しい気持ちで眠りにつけるはず。
暗闇に灯る小さなあかりと、1冊の絵本があることの
幸せに感謝しながら。



『あかりをけして』 アーサー・ガイサート 作  久美沙織 訳 BL出版

このような仕掛けは「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」、
子ども達には「ピタゴラ装置」でお馴染みです。
文字がほとんどないガイサートの絵本は
細部まで描かれた銅版画。
大人心もくすぐられます。
本のこと

おひさまはどこ?



ルシアはお母さんと弟と一緒に
はるか北の山のふもとで仲良く暮らしていました。



ある年の冬、嵐のような風が吹いて
おひさまが顔を出さなくなりました。
次の日も、次の日も、また次の日も・・・
あかちゃんはむずかり、牛はミルクを出してくれません。



ルシアは決心しました。
おひさまを見つけに行くことを。
硬くなったパンと、火をおこす道具箱を持って出ると、
猫が一緒についてきてくれました。



深く暗い森を行くルシア。
山の頂にたどり着くと岩ばかり。
でもそれは岩ではなく、トロールでした。
暗闇に生きるトロールがおひさまを捕まえていたのです。



ルシアは道具箱から火打石を取り出して火をおこします。
「おひさまはここよ」
トロールに差し出すルシア。
覗き込んだ隙に、猫が本物のおひさまを助けました。



空へのぼっていくおひさま。
トロールたちは石になってしまいました。
ルシアと猫は山のふもとをめざし、
お母さんのもとに還ります。



ルシアを抱きしめたお母さんは言いました。
「ルシアはママのおひさま。
ママのこころをてらしてくれる おひさまよ」


炊き出しや物資運びを手伝う子ども達。
みんなが誰かのおひさまです。
照らされた大人も、また誰かを暖めています。
今、すべての人の心におひさまが見えます。

そして、いつかルシアのように勇敢な女の子が
この国のおひさまを探してくれる日が
くるかもしれません。



『おひさまはどこ?』 
フィリス・ルート作 メアリー・グランプレ絵 岩崎たまゑ訳
岩崎書店




 
本のこと

石のスープ

 

戦争や洪水でひどい目にあった村の人々は
心が疲れきっていました。
そこにやってきた3人の僧は
木の枝をあつめ、火をおこし、石のスープをつくりはじめます。



やがて、石のスープがどんなものなのか
村人は気になり始めます。
ひとりが大きいなべを、また別の人は塩とこしょうを、
石のスープに足りないものを持ってきます。



野菜やきのこ、肉・・・どんどん食べ物が集まります。



そして久しぶりに集まった村人は、
みんなで灯りをともして
おいしいスープと、持ち寄ったものをいただきました。



最後の僧の言葉は
「しあわせとは、かんたんなこと、
それは石のスープをつくるように、
かんたんなことなのです。」

今はそんな簡単なことすら、ままならない場所もあります。
でも、映像で人々が火を囲む姿を見ていると
小さなしあわせの輪が、
いろいろな場所に出来ているようです。

暖かい場所で、温かいスープを飲める人々は
その かんたんなしあわせを味わって、
それぞれに相応しい大きさの輪に加われば
輪はいつか拡がっていくでしょう。



『しあわせの石のスープ』 ジョン・J・ミュース 作  三木 卓 訳 
フレーベル館 
本のこと

言葉のちから



テレビから聞こえる緊迫した言葉。
ツイッターで流れる臨場感溢れる言葉。
どれも必要としている人々には重要な言葉です。
でも、子ども達が受けとめるにはあまりに重すぎます。

家族と共に暖かく過ごせる場所のある子ども達には、今こそ
静かで穏やかな力を持った絵と言葉をあげたい。
そして、そんな場所のない子ども達には
傍にいる大人たちの言葉ひとつひとつが大きな温もりです。

   

『生きとし生けるもの』 ゴフスタイン作  谷川俊太郎訳  ジー・シー・プレス

多くの方に1分1秒でも早く
暖かく眠れる場所ができるよう祈っています。


 
本のこと

ほんとに ほんとに ほしいもの

 

母親のために家族でお金をためて、
大きないすを買った『かあさんのいす』のローザ。
今度は自分の誕生日に、自分へのプレゼントを探します。
ローラースケートや水玉のドレス、ナップザック・・・
どれもほしいけれど、「ぜったいにほんとにほしい」かどうか、
わからなくなってしまいます。



そんな時聴こえてきたアコーディオンの音。
ローザには自分がアコーディオンを弾く姿が浮かんできました。
友達が楽しそうに踊る姿も。



誕生日の日、家族みんなで楽器屋さんに行きました。
ローザにぴったりの大きさのアコーディオンを
お店の人が見せてくれます。
「これが、わたしがぜったいほんとにほしかったものだったと
わかりました。」



もうすぐクリスマス。
ほんとにほんとにほしいものが、
子ども達のもとに届きますように。




ベラ・B・ウィリアムズ 作・絵
佐野洋子 訳

訳者の佐野さんは今年、亡くなられました。
たくさんの絵本は、これからも
多くの子ども達のほんとにほしいものになるでしょう。
そして多くの大人達をほんとに勇気づけてくれるでしょう。
愛情あふれるパワフルな作品、
ほんとに ほんとに ありがとうございました。
本のこと

天使

 

この素朴な天使は
昨日紹介したボットン村のオーナメント。
小さくても存在感があります。
届くごとに、木目やカットの仕方で雰囲気が微妙に違うのも
木を活かした手作りならでは。
いつもそばで見守っていてほしくなります。
8.5cm 1050円


アルミ箔に型を押したオーナメント。
ちょっと華やかな天使。

11cm 441円 ドイツ製


絵本の天使。


1971年から版を重ねている、キリスト生誕のお話。
この大胆な色使いとデザインは40年経っても新鮮です。
天使の持っている紐の先には・・・



鐘!!
『くりすます』というひらがなも味わい深い。



「せんそうを やめて
 けんかを やめて
 なかよく
 たすけあいますように。」

くりすますに手のひらを合わせて
静かに祈れば
天使の鳴らす鐘の音が聞こえてきそうです。

すずきえつろう・絵
わきたあきこ・文
古本 630円
本のこと

にわとりのこと

今日は、『ひよこのかずはかぞえるな』を棚に差したので、
おすすめのにわとりをいろいろ。


イングリとエドガー・ドーレアの絵本。
想像力豊かで、楽天的で、前向きなおばさんが魅力的。
人生って、とことん悪いことばっかりじゃなくて、
どこかに小さないいことが必ずある、って思えます。
 
  
このおばさんはまさに楽天的なタイプ!  
古本 1575円 版元品切



ロシアの古い伝統的なおもちゃ。
球を振り子のように回すと、
にわとりが餌をついばみます。
骨董市で見つけました。
4200円 長さ約18cm



こちらは新品。ドイツ デコア社の引き車です。
引っ張ると首がカタンカタン動きます。
素朴なデザインで、時を経るとますますいい風合いに。
5250円 高さ約19cm



ドイツのカード。
自由な色。
メッセージも自由に書けそうです。
263円 二つ折り定型 封筒付

本のこと

1930年

 

古い切り抜きを譲っていただきました。
1930年代の少女の
甘く柔らかい心に触れるようで、
1枚1枚を、そっと手に取りました。
初山滋、中原淳一、蕗谷虹児、まつもとかつぢ・・・
大御所の絵にも、少女達への甘い想いが
ぐんと込められているような気がします。

 

切り抜きいろいろ販売中です。(315円〜)
時の香りを味わえます。

写真上・中原淳一 左下・初山滋 右下・まつもとかつぢ



本のこと

函入の本

 

前回は緑の本だったので、次は赤い本にしてみました。
上の函から取り出すと、この鮮やかな色!
思いがけない贈り物を開けた時のような
嬉しい驚きです。

1冊の本が出来上がるまでには、多くの人が関わっています。
作家、画家、編集、デザイン、印刷・・・
みんなの想いがしっかり込められた本は、
たたずまいが違って見えます。

本屋さんの棚から手に取った本。
その重さ、紙の手触り、印刷の匂い、頁をめくる音・・・
どれもが言葉を飾るために添えられた色です。
心動かされる色の本には、
それに相応しい言葉が詰まっている気がします。



「少年の画室」 宮本三郎 東峰書房
古書 1575円(税込)で販売中です。

画家の宮本氏が、「本式に絵を勉強しようとする人達を対象に、
絵の基本的な習練の方法をわかりやすく、片よらずにということを
立まえに書いてみた」本、装丁もご自身でされています。
昭和26年の本のたたずまいは、背筋がしゃんと伸びています。
本のこと